第223章:ママは恋愛盲ですか?

エイデン視点

ぼくは病院が嫌いだった。すごく嫌な匂いがするんだ。ママがぼくのりんごジュースをラグにこぼしたときに使う洗剤みたいな匂い。でも、もっとずっと強くて、なんだか怖い匂い。何もかもが真っ白でまぶしくて、太陽をじっと見つめすぎたときみたいに、目がチカチカした。

チャールズは、終わりのない廊下を歩くあいだ、ぼくの手をぎゅっと握ってくれた。彼の手は大きくてあたたかかった。パパの手とは違う。パパの手はもっとごつごつしていて、ぼくを抱き上げていつまでもぶんぶん振り回してくれそうな手だった。パパに会いたい。どこにいるんだろう? パパはただ……ぽんって、いなくなっちゃった。ぼくとママのことを忘れち...

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