第54章:今夜、私はあなたが欲しい

ノーラ視点

身動きが取れなかった。アレクサンダーは私をヘッドボードに押し付け、その筋骨隆々とした腕は鉄格子のように私を閉じ込めていた。彼の顔が目と鼻の先で揺らめき、熱い吐息が肌を撫で、不本意な震えが私を貫く。最悪のタイミングで、シルクのナイトガウンの細いストラップが肩から滑り落ち、彼の捕食者のような視線の下で許される以上に肌を晒してしまっている。それを直したい衝動と戦った――彼の注意をそこに引けば、事態が悪化するだけだ。

初めて、彼が本当にキレてしまい、自分の権利だと信じているものを力ずくで奪うかもしれないと、心から恐怖を感じた。

「アレクサンダー、お願い」私はなんとか声を絞り出した...

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