第58話妹との禁断の恋

リアム視点

プライベートジェットが刃のように雲を切り裂き、ハイクレスト・シティが遠い記憶へと縮んでいく。トレイナー家のジェット――ハイクレスト市で最も裕福な一族であることの、輝かしい象徴だ。もっとも、金なんざ俺にとってはどうでもいいことだった。俺の心は別の場所にあった。いつも、彼女の周りを巡っている。

デイジー。俺の妹。だが、本当は――血の繋がりはない。それこそが、俺が何年も葛藤してきた、吐き気のするような運命の皮肉だった。彼女は真実を知らない。だが、俺は知っていた。ある夜、書斎で父と口論になった際、父の隠しファイルに偶然行き当たったのだ。問い詰められて父は白状した。デイジーは彼の生物学的...

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