第86話わしの子、いわゆるろくでなし

アレクサンダー視点

手術室の外にある待合室は不気味なほど静まり返っており、時折ナースステーションから聞こえるささやき声だけが沈黙を破っていた。俺は窓際に立ち、病院の中庭に広がる陽だまりを眺めていた。胸の内に奇妙な満足感が広がっていく。

ノラはついに同意した。俺たちの関係を蝕んでいた障害が、もうすぐ取り除かれる。あの忌々しい子供――彼女を見ず知らずの誰かと結びつける証拠――が、間もなく消え去るのだ。そうすれば、俺たちはやり直せる。二人だけで、そしていずれは俺たち自身の子供と共に。真のクラフリン家の後継者だ。

腕時計を確認する。手術はもう始まっている。医師はとっくに処置に取り掛かっているはず...

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