チャプター 16

アリア

ベッドに横たわっていた身体は、エレインではなかった。

それは男性だった。年配で、白髪の、見知らぬ顔。

「何――」

「アリア?」

私は勢いよく振り返った。

戸口に立っていたのはエレインだった、紛れもなく生きている。腕は三角巾で吊られ、額には包帯が巻かれている。でも、彼女は立っていた。呼吸をしていた。ここにいる。

「ああ、よかった……」私は彼女に駆け寄ったが、怪我をさせてしまうのが怖くて途中で足を止めた。「私、てっきり――病院の人が――」

「ええ、言われたことはわかっているわ」彼女は片腕で私を抱きしめた。「患者が違ったの。もう一人、事故の被害者がいて。年配の男性。その方は、...

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