チャプター 6
エマ
モーガン家の夕食会は毎月開かれる。エリザベスが維持することにこだわった伝統だ。今夜も変わりはない。ただ、私がパリから戻って三日が経ち、帰国後初めて参加する夕食会だという点を除けば。
私はモーガン邸の窓辺に立ち、ブレイクの車が私道に入ってくるのを見ていた。やっとだ。一時間以上も待たされたのだから。
エリザベスはしきりに腕時計に目をやっている。ヴィクトリアは退屈そうにスマホをいじっていた。でも、私は微笑みを崩さなかった。辛抱強く、落ち着き払って。
まずブレイクが降りた。それから助手席側に回り、ドアを開ける。
アリアがよろめきながら出てきた。髪は乱れ、目は半分閉じている。彼の車で眠っていたのだろう。
なんて家庭的な光景かしら。
二人がドアを抜けて入ってくるのと同時に、私はエントランスホールへ向かった。ブレイクは疲れているようだった。苛立っているようにも見える。アリアはもっとひどい有様だった。
「ブレイク!」私は駆け寄り、彼が反応する前にその体に腕を回した。「待っていたわ」
彼は身を硬くした。それから少しだけ力を抜く。「悪い。手間取った」
私は身を引いたが、手は彼の腕に置いたまま。アリアの方を向き、とびきりの笑顔を向けた。「お疲れでしょう。さあ、夕食の準備はできているわ」
アリアは何かを呟き、私たちの後についてダイニングルームに入った。
私たちが入るとエリザベスが立ち上がった。「ブレイク。心配していたのよ」
「渋滞だ」とブレイクは短く言った。
私は彼をテーブル上座のいつもの席へ案内した。そして、その右隣の席に腰を下ろす。子供の頃から私の席だと決めていた場所。エリザベスは私の向かいに、ヴィクトリアはその母親の隣に座った。
残ったのは一番端の席。キッチンへ続くドアの近くの隅の席だ。
「アリア、そちらに座ったらどうかしら?」私は優雅に身振りで示した。「何か必要になったとき、使用人に声をかけやすいでしょう」
エリザベスが眉をひそめた。「エマ、おそらく――」
「大丈夫です」アリアは静かに言った。彼女は隅の席へと移動した。
使用人たちが給仕を始めた。今夜は私が特別にサーモンのビスクをリクエストしておいたのだ。濃厚で、クリーミー。その香りが部屋に満ちる。
アリアの前にスープ皿が置かれるのを、私は見つめた。彼女は青ざめ、手で口元を押さえた。
面白い。
「アリア、大丈夫なの?」とエリザベスが尋ねた。
「大丈夫です。ただ――」アリアはテーブルから椅子を引いた。「失礼します」
彼女は部屋からほとんど駆け出すようにして出て行った。私は五つ数え、それから立ち上がった。
「様子を見てきますわ」私はエリザベスに微笑みかけた。「女同士、分かりますでしょう?」
パウダールームでアリアを見つけた。ドアは少し開いている。彼女は洗面台に身をかがめ、空えづきをしていた。体全体が震えている。
ドアを押し開ける。「手伝いましょうか?」
彼女はびくりとした。慌てて蛇口をひねる。「大丈夫です。疲れているだけなので」
「サーモンはかなり濃厚ですものね」私は彼女にタオルを手渡した。「ごゆっくり」
「ありがとうございます」彼女は震える手で顔を拭った。私と目を合わせようとはしない。
「戻りましょう。エリザベスが心配するわ」
彼女は頷き、私の後について出てきた。
ダイニングルームに戻り、席に着く。スプーンを手に取った。
吐き気。疲労感。あのスープ皿を押しやったときの手の震え。
彼女は妊娠している。確信があった。
「彼女、大丈夫なの?」とエリザベスが尋ねた。
「疲れているだけですわ。すぐに戻ります」
五分後、アリアが戻ってきた。隅の席に座る。使用人は彼女のサーモンのビスクを澄んだブロスと取り替えていた。
私は彼女が食べるのを、いや、食べようとするのを見ていた。ヴィクトリアが頼んだ辛いキムチ以外は、ほとんど何にも口をつけなかった。それだけは意外なほどの食欲で食べている。
私の疑念は確信に変わった。
そのとき、記憶が蘇った。望まない、歓迎されざる記憶が。
去年のパリ。黒い瞳と、甘い約束を安売りする若い監督。彼は私に、ブレイクが決してくれなかった生きている実感を与えてくれた。情熱。渇望。そして、選ばれたという感覚を。
「君は特別だ」彼は囁いた。「ただの金持ちのお嬢様じゃない」
私は彼を信じた。馬鹿だった。なんて馬鹿だったんだろう。
妊娠を告げると、彼の顔から表情が消えた。冷たくなった。
「ピルを飲んでると思ってた」
「飲んでたわ。でも、失敗することもあるの」
彼は背中を預け、煙草に火をつけた。「じゃあ、始末してこい」
「始末してこい?」私は繰り返した。感覚が麻痺していた。
「ああ。お互いにキャリアがあるだろ。これはどっちのためにもならない」彼は煙を吐き出した。「サント通りにクリニックがある。すごく口が堅い」
私は一人で行った。あの無菌室で一人で座っていた。一人で血を流した。
彼はその後、一度だけメッセージを送ってきた。『大丈夫か?』
それだけだった。
二度とあんな過ちは繰り返さないと誓った。ブレイクは私が望むようには愛してくれないかもしれない。でも、彼は決して私を見捨てない。使い捨てになんてしない。
彼は信頼できる。堅実だ。私のもの。
「エマ?」ブレイクの声が私を現実に引き戻した。「大丈夫か?」
「ただパリのことを考えてたの」私は彼の手の甲に触れた。「家に帰ってこられて、本当に嬉しいわ」
彼は小さく微笑んだ。私だけに見せる、あの微笑み。温かいけれど、どこか距離を感じる。
一度、屋敷でブレイクのためにサプライズパーティを開いたことがある。ほとんどの客が帰った後、テラスでマシューと一緒にいる彼を見つけた。
二人は私が近づいたことに気づいていなかった。
「子供を作るべきだよ」マシューが言っていた。「モーガン家の血を絶やすな」
ブレイクは笑った。短く、苦々しい笑いだった。「誰とだ? エマは自分のキャリアに夢中だし。それにアリアは――」彼はそこで言葉を切った。
「アリアがどうしたんだ? 彼女は君の妻だろ」
「彼女は契約だ。それ以上でもそれ以下でもない」ブレイクの声は冷たくなった。「もし彼女が妊娠でもしようものなら、必ず阻止する」
「それは酷いな」
「彼女にモーガン家の子を産む資格はない。俺たちがどうして結婚する羽目になったか知ってるか?」ブレイクは間を置いた。「三年前、彼女は俺に薬を盛ったんだ。全部仕組んで、考えうる限り最も汚いやり方で俺のベッドに潜り込んだ」
「本気か?」
「人生で唯一、俺が操られた時だ。あんな策略で一杯食わされたのは、後にも先にもあれだけだ」ブレイクの声は氷のようだった。「絶対に許さない。それに、子供をネタに俺を罠にかけるなんてことも、絶対にさせない」
胸が締め付けられた。つまり、彼はまだあの話を信じている。アリアがすべてを計画したと思い込んでいる。
でも、それで十分だった。私が否定してきたことを悟るには。ブレイクが私に感じているのは義務であって、愛ではない。そしてもしアリアが彼に跡継ぎを産んだら、私はその義務さえも失うことになる。
彼らに見られる前に、私はその場を離れた。でも、その前に気づいてしまった。影の中にもう一つの人影がいたことに。アリアだ。彼女も、すべてを聞いていた。
今、私は彼女が食事をつつくのを眺めている。彼女の手が時折、無意識に自分のお腹へと運ばれる。
彼女は妊娠している。確信があった。
そして、もし彼女がその子を産んだら、私が築き上げてきたものすべてが消えてしまう。ブレイクは彼女に縛られることになる。自分の子供の母親に。モーガン家の跡継ぎの母に。
いや。
私は一人の赤ん坊を失った。ブレイクまで失うわけにはいかない。
ディナーが終わった。エリザベスが私の頬にキスをする。「近いうちに遊びに来てね、あなた」
「もちろんです」私は彼女を抱きしめた。「お招きいただき、ありがとうございました」
ブレイクは私の車まで送ってくれた。アリアはもうとっくに二階へ消えていた。
「気をつけて運転しろよ」彼が言った。
「いつもしてるわ」私は彼の顔に触れた。「あなたに会えなくて寂しかったのよ。留守の間」
「俺もだ」彼は自動的にそう言った。何も考えずに。
私は車に乗り込んだ。三ブロック走り、路肩に停める。携帯を取り出した。
その番号は偽名で登録してある。私はダイヤルした。
二回呼び出し音が鳴る。そして、がさつな声が応えた。「もしもし?」
「私よ」私は囁いた。「計画を実行して。忘れないで、本物に見えるようにね」
