チャプター 62

アリア

今朝はいつもより早く目が覚めた。真っ先に手に取ったのは、ドレッサーの上に置いてある使い古されたテディベアだ。十歳の誕生日に父さんがくれたものだ。中綿が飛び出し、片目は糸一本でかろうじてぶら下がっている状態だったが、どうしても捨てられなかった。今日、私はこれを病院へ持っていくことにした。

父さんは、私がいつもウィンドウ越しに眺めていたあの高級おもちゃ屋でこれを買うために、何ヶ月も節約してくれたのだ。「どんなお姫様にも、王室の近衛兵が必要だからな」父さんはそう言って、すべてが大丈夫だと思わせてくれるような温かい笑顔を向けたものだった。

念入りにシャワーを浴びた後、カジュアルな服に着替...

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