第六十九章

エマ

もう、眠れなかった。

永遠に続くかと思われる毎晩、私はびっしょりと寝汗をかいて目を覚ます。心臓が痛いほど激しく脈打っている。悪夢は止むことなく訪れた。鉄格子。激しく閉まる独房の扉。息ができなくなるまで迫りくる壁。

朝の光がカーテン越しに差し込む頃には、休息をとることは完全に諦めていた。私は重い体を引きずって一階へと降りた。誰もいない廊下を進む手が震えている。

両親はいなかった。「仕事」と称して荷物をまとめ、他州へ行ってしまったのだ。別れの時、二人は私の目を見ようともしなかった。知っているのだろうか? 私が本当の娘ではないと気づいてしまったのだろうか? そう考えると、胃がキリキリと...

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