チャプター 80

ブレイク

三年後

俺は無機質な病院の廊下で、ベンチに腰を下ろしていた。蛍光灯の白い明かりが、ズキズキと脈打つ頭痛をさらに悪化させる。膝の上には医師の診断書――俺がすでに知っている事実を、医学的に裏付けただけの紙切れだ。左手の状態は良くなるどころか、悪化の一途をたどっている。絶え間ない痛みこそが、この三年間、俺に寄り添い続けた唯一の忠実な相棒だった。

母さんが隣に座っている。その顔には、実年齢以上に彼女を老け込ませる心労の影が濃く刻まれていた。かつては上品だったシルバーグレイの髪も、今では数えるのも恐ろしいほど白髪が増えている。俺が少しずつ自滅していく様を目の当たりにするのは、母さんにとっ...

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