チャプター 86

ブレイク

ハンプトン邸の私的な書斎で、俺は一番上の棚に置かれた小さなテディベアをじっと見つめていた。あれをそこに置いてから三年が経った。アリアが姿を消してから三年。彼女はこのぬいぐるみを宝物のように大切にしていたが、俺はここに置いたままにしていた。待っていたのだ。彼女がこれを取りに戻ってくるのを。

「取りに来るんだろう、アリア?」俺は囁いた。「おまえ、この忌々しいのがないと眠れないっていつも言ってたじゃないか」

手を伸ばすと、指先が柔らかな毛皮に触れた。テディベアは棚の高いところにあり、手をいっぱいに伸ばさなければ届かない。

今やそのテディベアは、埃をかぶりながらただ待っている。だが、...

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