第11話

夜が白みはじめたばかりの神城邸は、庭の隅々まで息を潜めたように静まり返っていた。

晴香は庭の真ん中で、一晩じゅう膝をついたまま。

膝はとうに感覚がなく、棒みたいに地面に突っ張っている。昨夜の酒で胃をやられ、冷たい風にさらされ続けたせいで、顔色は紙みたいに青白かった。

やがて黒塗りの高級車が数台、門をくぐって滑り込んでくる。ドアが開き、険しい顔の老人たちが降り立った。どいつもこいつも融通の利かなそうな、石みたいな表情。

神城家の一族長老会だ。

「これが裏切り者の女か?」

「見た目からして腹に一物ありそうだな」

「神城の機密を高坂家に流したんだろ。掟なら手足を折って海に沈める」

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