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「結婚してからというもの、菜々花が心から笑ったことなど一度もなかった。あの爺さんが巨費を投じて建てた古城や温室は、一見すると寵愛の証のようだが、その実態は完全な軟禁だった」

浩実は深く煙草を吸い込み、ゆっくりと白い煙の輪を吐き出した。

「そして妊娠が、すべての転機になった——彼女は初めて笑顔を見せたが、皮肉なことにその微笑みは、お腹の子だけに向けられたものだった。彼女はすべての愛情を、惜しみなく兄貴に注いだ。あの爺さんは完全に蚊帳の外でね、惨めで滑稽なもんだったよ」

晴香の指先が、掌に強く食い込む。それでも、その痛みが心の底から湧き上がる寒気を散らしてくれることはなかった……。

「菜...

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