第13話

黒のマイバッハが屋敷の門を猛スピードで飛び出した。

車の後部座席で、深也は腕の中の女をきつく抱きしめていた。

晴香の顔色は土気色に沈み、口の端から絶え間なく溢れ出る鮮血が、彼の心臓を張り裂けんばかりに締め付けていた。

「もっと飛ばせ!」

深也は運転席に向かって怒鳴りつけた。

ハンドルを握る哲也の掌は汗に塗れ、アクセルはとうにベタ踏みだった。

「これ以上は……! この先、市街地に入ると渋滞が……」

「知るか! 二十分以内に病院へ着け!」

深也の声は震えていた。強烈な恐怖が彼の呼吸を奪っていく。

腕の中の身体が、どんどん冷たくなっていく。

「死ぬな……」

深也は俯き、血に染...

ログインして続きを読む