第17話

ほどなくして、救急科の医師が看護師を連れて駆けつけてきた。

さっき手術同意書に自分でサインしていた女だと分かった瞬間、医師の眉間がきゅっと寄る。

「命、いらないのか!」

医師は晴香の手首をひったくるように掴み、まだ血のにじむ点滴跡を見て顔色を悪くした。

「手術が終わったばかりで針を抜いて勝手に歩き回る? 長生きしたくないって言ってるようなもんだろ」

晴香はストローをくわえたまま、頬をぱんぱんに膨らませて必死にパンを飲み下していた。

口の中をどうにか片づけ、かすれる声で小さく言う。

「……お腹、すいて」

あまりにも弱々しいその声に、医師の口元まで出かかった罵声が喉で止まった。

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