第22話

これまで深也が高坂家に手を出さなかったのは、ひとえに晴香の顔を立ててのことだった。

当時の晴香は淵を深く愛していた。もし淵に危害を加えれば、晴香は一生自分を恨むだろう。

彼女が悲しむ姿など見たくなかったし、憎悪に満ちた目で見つめられることなど耐えられなかった。だからこそ、ずっと堪え忍んできたのだ。

淵が晴香を利用して神城コンツェルンの機密文書を盗み出した時も、深也は見て見ぬふりをした。

そして今回、淵が証拠を捏造し、神城家に脱税の濡れ衣を着せようとした件でさえ、彼は部下に命じて事態を揉み消した。

深也の持つすべての越えてはならない一線や原則は、晴香の前では塵芥も同然だった。

だが...

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