第33話

哲也は今にも人を殺しかねない社長の剣幕に、大声で応じた。すでに最高のチームを手配しており、淵に逃げ場はない、と。

黒の防弾仕様のマイバッハがエンジンを轟かせて深也の前に滑り込む。顔面を蒼白にした運転手が、転がるように降りてきてドアを開けた。

深也は晴香を慎重に後部座席へ寝かせた。その動きは、まるでこの世で唯一の宝物を扱うかのように優しかった。

ドアが閉まるや否や、深也は運転手に鋭く命じた。

「一番近い病院へ行け! 一分でも遅れたら、お前の命はないと思え!」

車内の空気は息が詰まるほど重く、エンジンの轟音と晴香の微弱な息遣いだけが交錯していた。

晴香は深也の引き締まった胸に寄りかか...

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