第34話

深也の心音は、一拍ごとに重みを増していく。先ほどの銃撃戦の最中でさえ、これほど激しく打ち鳴らされることはなかった。

ざらついた親指の腹で、赤く腫れた彼女の唇を強く擦る。

「晴香、その手には乗らねぇぞ」

「一度キスしたくらいで、帳消しになると思うな。その脚が治ったら、一生ベッドから降りられないようにしてやる」

凶暴に牙を剥く男の顔を見つめながら、晴香の胸の奥には、じんわりと温かいものが広がっていた。

前世では、この男をただ偏執的で狂っているとしか思えず、逃げることしか考えていなかった。

死んで初めて気づいたのだ。彼は最も凶悪な殻で、最も深い愛を包み隠していただけなのだと。

脚の激...

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