第38話

ベッドに横たわる彼女の眉が微かにひそめられた。必死に意識の底から這い上がろうともがいているようだ。

やがて、長く閉ざされていた双眸が、ゆっくりと細く開かれた。

視界に飛び込んできたのは、ぼやけた白い天井と――血走り、焦燥に染まった一対の瞳。

「深也……」

晴香の声はひどく掠れ、かき消えそうなほど弱々しかった。

だが、その響きは深也の耳に届き、彼の身体を大きく震わせた。

ビジネスの世界では常に冷徹で果断な男の目頭が、一瞬にして赤く染まる。

「ああ、ここにいる。俺はここだ!」

深也は両手で彼女の頬を包み込む。その声は微かに震えていた。

「どこか痛むか? 傷か? 水が飲みたいか?...

ログインして続きを読む