第49話

「わ……分かった。要求を呑もう」

ついに、武治は崩れ落ちるように屈服した。

いつも問題ばかり起こす甥よりも、己の栄華のほうがよほど重要だった。

高坂家はすでに満身創痍であり、資金繰りもとうにショートしている。ここで深也の要求を拒めば、待っているのは破滅のみだ。

武治の声は、一気に十歳は老け込んだように掠れていた。

「西郊外にあるサナトリウムに匿っている」

深也の口角が、冷酷な弧を描く。

「結構。高坂社長は賢明な方だ」

「万が一に備え、護衛に回した人員はすぐに撤収させよう」

武治は奥歯を噛み締めた。どうせ悪人になるのなら、最後まで徹するしかない。

深也は通話を切り、スマート...

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