第50話

深也は、未だ消えやらぬ荒んだ気配を纏ったまま、大股で踏み込んできた。

本来なら戻るつもりなどなかった。だが、淵の始末を終えた直後、胸にぽっかりと空いたような虚無感が彼を焦燥に駆り立てたのだ。

彼女に会いたかった。たとえ口論になろうと、冷たい態度をとられようと、ただその顔を見たかった。

しかし、リビングの照明をつけ、ソファの惨状を目の当たりにした瞬間、心臓が鷲掴みにされたように縮み上がった。

晴香の小さな身体は隅に丸まり、顔色はぞっとするほど蒼白だった。前髪は冷や汗でべったりと張り付き、全身がコントロールを失ったようにガタガタと震えている。

「晴香!」

深也の頭の中が真っ白になった...

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