第52話

慣れ親しんだ香りが彼女を包み込む。深也は晴香の首筋に顎を乗せ、その温かい吐息が耳裏の肌をくすぐり、微かな震えを呼び起こした。

「俺の晴香は、本当にどんどん凄くなるな」

深也の低い声には、笑みと誇らしさが滲んでいた。

晴香は振り返り、そのまま両腕で彼の首に抱きついた。端正な顔を見上げ、ふふっと笑う。

「当然でしょ。ずっとあなたの後ろに隠れて、価値のないお飾りのままでいるわけにはいかないもの」

褒めてほしそうにするその愛らしい姿に、深也の胸が甘く疼く。彼は顔を寄せ、その赤い唇に深く口づけた。

「俺を心配で死なせる気か? ん?」

甘い空気が漂う中、テーブルに置かれたスマートフォンが突...

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