第54話

淵は黒いスーツに身を包み、抱き合う二人を陰鬱な目で見据えながら、顔に歪んだ笑みを貼りつけていた。

「こんな感動的な場面に、旧友の俺が欠けるわけにはいかないだろう」

深也はすぐさま晴香を背後に庇い、その目を瞬時に冷たく凍らせた。

「淵、どうやって入ってきた」

淵は大袈裟に笑い声を上げた。

「神城社長、相変わらず自信過剰だな。金さえ積めば、こじ開けられない扉などないんだよ」

彼がパンと手を叩くと、背後の男たちが顔を腫らしたボディガードを数人放り出した。まさに深也が外周に配置していた者たちだった。

晴香は深也の背後から顔を覗かせ、その男を見て身体の震えを止められず、深也の袖を死に物狂...

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