第55話

「きゃああっ――!」

群衆の中から悲鳴が上がり、賢治は胸を押さえて二、三歩よろめき、あわや卒倒しかけた。

晴香は全身の血が凍りつくのを感じた。頭の中でガンと鈍い音が響き、両脚から力が抜け、その場に崩れ落ちそうになる。

淵はその小瓶を高く掲げ、ガラス越しに中の小さな命をねっとりと見つめながら、口角を歪に吊り上げた。

「深也、よく見えたか?」

「これこそ、俺が二年近くも大切に保管してきた宝物だ。今日というこの日のために、わざわざ取っておいたんだよ。お前に見せるためにな!」

なぜ淵がこんなものを持ち出したのか、深也には理解できなかった。だが、不意に胸が締め付けられ、呼吸すら苦しくなる。...

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