第60話

茉莉はすぐにカトラリーを置き、深也の背中を追って席を立った。

深也が晴香の横を通り過ぎる際、その足がぴたりと止まった。

「今日から、お前はここに残って茉莉の出産まで身の回りの世話をしろ」

「もし彼女の腹の子に万が一のことがあれば――晴香、お前を死ぬより辛い目に遭わせてやる」

晴香は床に這いつくばったまま、かつて自分を命より大切にしてくれた男が、今はこれほど残酷な言葉を吐くのを見上げていた。

「深也……そんな、ひどい……」

泣きながらそのズボンの裾を掴もうと手を伸ばしたが、空を切るだけだった。

深也は振り返ることもなく、一段、また一段と階段を上っていく。

そのすぐ後ろを歩く茉莉...

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