89、

三十億。

晴香と深也の仲を裂くどころか、創世グループの機密を盗み出すことすらできず、あろうことか三十億もの大金を失ったのだ。

淵は車椅子の肘掛けを死に物狂いで握りしめ、その陰湿な瞳にどす黒い憎悪を渦巻かせていた。

晴香、よくもやってくれたな。

昔は気づかなかったが、牙を剥けば誰よりも容赦がない。

「絶対に許さない……!」

淵は歯軋りしながら低く唸った。

必ずこの手で、あの不死鳥の翼をへし折ってやる。鳥籠に閉じ込め、俺のためだけに泣き、俺のためだけに鳴くようにしてやる。

――

グラン・レジデンス。書斎には今、晴香と深也の二人だけが残されていた。

モニターの警告マークがゆっく...

ログインして続きを読む