第10章

扉が開いた。

そこに立っていたのは、黒いスーツを着た無表情の男が二人。

神谷洲の人間だ。

「あなたたち……どなた?」母親はその威圧感に怯え、無意識に扉の前に立ち塞がった。

先頭の男は母親を見もせず、その肩越しに相沢栞へ視線を向け、軽く頭を下げた。丁寧だが、拒絶を許さない強引さがあった。

「相沢さん。先生が、お迎えに上がるよう仰せです」

母親の顔から一瞬で血の気が引いた。

「迎えって、どこへ!? 娘は帰ってきたばかりよ。どこにも行かせない!」

相沢栞はベッドから降りて母親のそばへ行き、安心させるようにその手をそっと叩いた。

そして男たちを見据え、一抹の波風も立たない平坦な声で...

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