第11章

「刑務所から出たばかりで、もう仮病の使い方は覚えたらしいな。なんだ、俺の躾がまだ足りないとでも思って、今度は別の手で俺の友人を誘惑する気か?」

相沢栞の身体が強張る。ようやく治まっていた胃の痛みが、再び疼き始めた。

ほら、やっぱり。

この男はいつだって、そういう風にしか考えないのだ。

「神谷洲!」温水景介はたまらず立ち上がり、相沢栞の前に立ちはだかった。「彼女は三途の川から戻ってきたばかりなんだぞ! お前、彼女がどれだけ……」

「俺が知っているのは、こいつが恥知らずでふしだらな女だということだけだ」

神谷洲が冷たく遮る。その視線は温水景介の肩越しに、相沢栞を射抜くように見据えてい...

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