第22章

男はしゃがみ込み、彼女の顎を強く捏ね上げた。

「お前はただ、蓮を産むための道具にすぎない。あいつに万が一のことがあれば、お前も、あの死に損ないの母親も、一緒に道連れにしてやる」

相沢栞の胃を捻り潰すような痛みも、この瞬間、胸を無残に切り裂かれた痛みに比べれば取るに足らなかった。

生活が少しは上向くかもしれないと、ようやく心に灯ったかすかな希望の光は、頭から氷水を浴びせられたように一瞬で消え去った。

自分には人間としての尊厳すらない。ただの道具なのだ。

彼女は男を見つめ、ふいに笑い出した。涙が溢れるほどに。

「神谷洲」彼女は口を開いた。声は微かだったが、恐ろしいほどはっきりと響いた...

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