第28章

自分でも滑稽に思えるほど荒唐無稽な考えが、意識の暗がりで、音もなく根を下ろした。

「これも、消せ」彼は掠れた声で命じた。

消してしまえば、無かったことになる。

だが、その種はすでに蒔かれていた。

……

城南エリアのバイクカスタムショップ。

三浦晴香はチュッパチャプスを咥えながら、愛車のハーレーのオイル交換をしていた。そこへ、デリバリーの制服を着た配達員が息を切らして駆け込んでくる。その腕には、茶封筒がしっかりと抱えられていた。

「あの……三浦晴香さんは、どなたですか?」

晴香は咥えていた棒を吐き出し、眉をひそめた。「私だけど。あんた誰?」

「お医者さんが、二人の男に捕まって...

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