第35章
廊下に明かりはなく、窓から差し込む月光だけが、彼の長身で均整のとれたシルエットを浮かび上がらせていた。
ドアの外に立ち、中から時折漏れ聞こえる、押し殺したようなえずき声に耳を傾ける。
扉を押し開けると、微かな光の中、相沢栞がベッドの傍らにうずくまっていた。顔面は蒼白で、壁に手をつきながら激しく嘔吐している。
薬の副作用は、彼が想像していた以上に重いようだ。
骨と皮ばかりに痩せ細ったその身体は、痙攣するたびに、残された僅かな体力を削り取られているかのようだった。
額には冷や汗が滲み、頬に張り付いた髪が、彼女の惨めさと脆さを際立たせている。
神谷洲の胸の奥を、再び何かがドンと突いた。...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
9. 第9章
10. 第10章
11. 第11章
12. 第12章
13. 第13章
14. 第14章
15. 第15章
16. 第16章
17. 第17章
18. 第18章
19. 第19章
20. 第20章
21. 第21章
22. 第22章
23. 第23章
24. 第24章
25. 第25章
26. 第26章
27. 第27章
28. 第28章
29. 第29章
30. 第30章
31. 第31章
32. 第32章
33. 第33章
34. 第34章
35. 第35章
36. 第36章
37. 第37章
38. 第38章
39. 第39章
40. 第40章
41. 第41章
42. 第42章
43. 第43章
44. 第44章
45. 第45章
46. 第46章
47. 第47章
48. 第48章
49. 第49章
50. 第50章
51. 第51章
52. 第52章
53. 第53章
54. 第54章
55. 第55章
56. 第56章
57. 第57章
58. 第58章
59. 第59章
60. 第60章
縮小
拡大
