第36章

温水景介は診察を終え、眉を深く潜ませた。

相沢栞は何も言わず、虚ろな瞳でただ天井を見つめている。

「相沢栞、聞いてくれ」温水景介は低く、しかし力強い声で言った。「手がかりを掴んだ。もう少しだけ時間をくれ」

相沢栞の長い睫毛が微かに震え、その瞳の奥にようやく、かすかな光が宿った。

温水景介が立ち去ると、物置部屋は再び重い静寂に包まれた。

……

一方、神谷洲は書斎に戻っていた。

診察台の上で震えていた相沢栞の姿と、赤く腫れ上がったあの瞳が、脳裏に何度もフラッシュバックする。

認めざるを得ない。あの瞬間、確かに胸の奥が塞がった。

その見知らぬ感覚が、彼をひどく苛立たせた。

だか...

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