第37章

彼女は神谷洲の書斎を訪れた。顔には心配そうな色を浮かべているが、その口調にはどこか他人の不幸を喜ぶような響きが混じっていた。

「洲、言ったでしょう。相沢栞という女は心が定まらないって。見てみなさい、子供を身ごもっているのに逃げ出そうとするなんて。あんな女に、大人しくしていることなんて期待できるもんですか」

吉川秀美はティーカップを手に取り、一口すすった。

「いっそのこと、早いうちにお腹の子供を堕ろしてしまえばいいのよ。そして、もっと従順な女を新しく探して、蓮のために健康な臍帯血を産ませるの。子供が生まれた後で、またあの子を連れて逃げられたりしたら厄介でしょう」

神谷洲は執務机の前に座...

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