第41章

温水景介はどっと無力感に襲われた。

吉川秀美が北峰市でどれほどの権力を握っているか、彼は熟知している。警察がやすやすと介入しないことなど、初めから予想がついていた。

だが、諦めるつもりはない。警察署を後にすると、別の突破口を探すべく歩き出した。

神谷洲が浅野薇々の地下室からの逃亡を知ったのは、執務机で書類を処理している最中だった。

手にしていた万年筆のペン先が止まり、紙に黒々としたインクの跡を引く。

眼差しに怒りが滲んだ。浅野薇々の図々しさは、彼の予想を遥かに超えていた。

「全力で浅野薇々の行方を追え。生きていようが死んでいようが、必ず見つけ出せ!」神谷洲の低い声には、有無を言わ...

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