第42章

主寝室へ戻ると、相沢栞はまだベッドの上で身を丸めていた。

彼女は知らない。自分の母親が、今まさに生死の境を彷徨っていることを。

ましてや、神谷洲がほんの一瞬でも相沢シズに会いに行こうと考え、結局は別の嘘に引き留められたことなど、知る由もなかった。

今の彼女にできるのは、いつ訪れるとも知れない結末をただ待つことだけだ。

……

温水景介は胸の奥で騒ぎ立てる不安に急き立てられるように、少しでも何かを取り戻そうと病院へ向かおうとしていた。

「温水医師、どこへ行く」

神谷洲の低い声には、有無を言わさぬ詮索の響きがあった。

温水景介は息を呑む。

相沢シズの件を神谷洲に知られたくない。ま...

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