第56章

神谷洲の身体がこわばった。

彼は相沢時から、かつてないほどの脅威を感じ取っていた。

この男は、温水景介のような生ぬるい医者でもなければ、自分の顔色を窺うような部下たちとも違う。

纏っている気配は、自分と互角か、あるいはそれ以上だ。

神谷洲は相沢時と長いこと睨み合った末、やがて身を翻し、大股で立ち去った。

去り際、彼は最後に一度だけ病室の中へ視線を向けた。

相沢栞は記憶にある姿よりも、いくらか生気を取り戻しているように見えた。

相沢時は神谷洲の遠ざかる背中を見つめたまま、その瞳の奥に宿る冷たい光をいつまでも消さなかった。

病室では、相沢栞の身体が順調に回復へ向かっていた。

相...

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