第8章

彼は少し間を置き、彼女の顔が一瞬で蒼白になるのを楽しむかのようにしてから、さらに悪辣な言葉を吐き出した。

「中では随分と『人気者』だったそうだな? 看守にも『可愛がられた』と聞く。一回多いか少ないかで、何が変わる?」

――ドクン。

「看守」という言葉が鍵となり、パンドラの箱が猛烈な勢いでこじ開けられた。

暗い部屋。見知らぬ男。目隠しをされた絶望と、穢れ……。

あらゆる感覚の記憶が、今この瞬間、濁流のように押し寄せる。

「違う……違う……!」相沢栞の身体が激しく震え出す。必死に首を振り、大粒の涙を溢れさせた。「放して! 放してよ!」

その反応は異常なほど激しく、急所を踏まれた獣の...

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