チャプター 112

エレノア視点

タクシーを降りた途端、震えが走った。一月の冷気が羊毛のコートを容赦なく切り裂いてくる。花卉協会の月例ディナーは予想以上に長引き、交配の技術だの春の展示計画だの、丁寧な雑談を何時間も続けたせいで、私はすっかり疲れ切っていた。デザートの時間を支配した持続可能な栽培法をめぐる白熱した議論の余熱が、まだ頬の奥に残っている。

集まりの最中、携帯電話の電源は切っていた。ほんの数時間、世界から切り離されるという、めったにない贅沢だ。だが運転手に料金を払いながら電源を入れ直した途端、通知の振動が立て続けに手のひらを叩いた。直近二時間で不在着信が六件。すべて同じ相手――デレク。

胃のあたりが...

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