第117章

エレノア視点

ボストン中心街の劇場へ向かう道すがら、夕方の空気が頬にきりりと当たった。オリヴィアと並んで歩く歩道には、まだ解けきらない雪がところどころ残り、街灯がそれを照らしている。冬の冷え込みに対して、灯りだけが妙にあたたかい色をしていた。時刻は八時少し前。トーマスの映画の誘いには、きっちり間に合っている。

「どうしてわざわざ、この劇場なのか、いまだに腑に落ちないんだけど」オリヴィアはえんじ色のマフラーを直しながら、ぶつぶつ言った。「ビーコンヒルの近くなら、もっといいところが少なくとも三つはあるのに」

私は笑みを作ったものの、胸の奥では小さな疑念が育っていた。トーマスが私の店に来た時か...

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