チャプター 12

デレク視点

エレノアの細い指がバッグのストラップをきゅっと握り、身体が出口のほうへ半分向いているのを見つめていた。彼女がこのまま立ち去る――そう思っただけで、胸の奥がひりつくように締まった。

「もう帰るのか、エレノア?」わざと皆の耳に届く声で呼びかけた。視線が一斉に集まるのがわかる。「何か怖いものでもあるのか?」

彼女はぴたりと動きを止めた。青いシルクのドレスの下で肩がこわばる。振り向いた顔は見事なほど整っていたが、目尻がほんのわずかに細まるのを俺は見逃さない。

「誰が、私が怖いなんて言ったの?」挑むような視線のくせに声は落ち着き払っていた。

その平静さが腹立たしかった。二年間離れて...

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