第120章

エレノア視点

「デレク、待って――」そう言いかけたのに、彼は前触れもなく私を腕の中へすくい上げ、花嫁抱きのまま胸に抱え込んだ。突然の浮遊感に息をのみ、反射的にバランスを取ろうとして腕を彼の首に回す。彼が一ブロック先に停めてある車へ向かって私を運ぶたび、ブーツの下で雪がぎゅっ、ぎゅっと鳴った。舞い落ちる雪片が、彼の黒い髪に吸い寄せられるように貼りついていく。

「下ろして! こんなの正気じゃない」抗議しながら身をよじったが、抱え方はびくともしない。その確かな力は、私が彼のそばでいつも安心できた理由――そして逃げられない理由――を思い出させた。

「だめだ、エレノア」彼はにやりと笑って答えた。凍...

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