第132章

エレノア視点

午後の陽がウェルズ邸の庭園に長い影を落とすなか、マーガレットと私は石畳の小径をゆっくり歩いていた。冬は春へと譲りつつあったが、空気にはまだ肌を刺すような冷たさが残っている。細い彼女の手が私の腕の内側にそっと置かれ、足取りは慎重で、ひとつひとつ確かめるようだった。年を重ねても、ウェルズ家特有の気品は失われていない。季節が巡るたび身体はますます華奢になっていくのに、背筋だけはまっすぐのままだ。

「ヘレボルスが咲き始めているわ」私は、溶けかけた雪の下から顔を出した白い花にうなだれるように揺れるのを指さして言った。「レンテンローズって呼ばれるけれど、実はバラじゃないのよ」

マーガレ...

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