チャプター 15

エレノア視点

私は廊下に立っていた。個室からは十分に離れ、誰かがうっかり私を見つけてしまうことのない場所で。冷たい壁に背中を押しつけながら、震える手をどうにか抑え、必死に呼吸を整えようとしていた。

唇にはバーボンの味が残っていた。そしてそこに混じる、もうひとつの感触――デレクのキス。指先が無意識に口元へ触れる。まだそこに、彼の唇が重なっていた幻の圧が残っている気がした。

何度か深呼吸をしてから、廊下に掛けられた装飾鏡へちらりと目をやった。頬は紅潮し、唇はわずかに腫れ、そして目――ああ、目だけはすべてを裏切っていた。見開かれ、混乱と怒りと、そして認めることを拒んでいる何かに、明るく揺れて...

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