第152章

エレノア視点

「ウェルズさんは、正式に退院許可が出ました」マーティン医師はそう告げ、クリップボードから顔を上げて満足そうに微笑んだ。「検査結果はすべて正常で、脳機能も問題ありません。あとは体力を取り戻す必要はありますが、完治へ向けて順調に進んでいます」

その言葉を受けた瞬間、デレクの表情がみるみる変わっていくのを見た。まず安堵がふわりと広がり、けれど次には、ほんの一瞬だけ不確かさがよぎる。病院を出るということ――命と死のあわいで漂い続けた、無菌の仮住まいのような場所から離れること――それは彼に、待ちきれない気持ちと同じだけの不安をもたらしているようだった。

マーティン医師が退院後の注意...

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