チャプター 32

エレノア視点

「ミア、帰る前にちょっとだけ花をまとめていくわ」

私はそう言いながら、もう冷蔵ケースから青いアジサイと白いバラを引き抜いていた。青はデレクの瞳に宿る冷たい冴えを思わせ、白は私たちのあいだに横たわる痛々しい空白そのもののようだった。

「特別なお客さま?」と、ミアが興味を隠さない声で尋ねた。

「そんなところかな」私は小さくつぶやき、花束づくりに意識を集中させた。

素朴な茶色の紙で花束を包み、麻ひもで結んだとき、店の窓に映る自分の姿がふと目に入った。ひどく緊張している。期待のせいで頬まで上気していた。私はあわててリップバームを塗り、髪を軽く整え、それから特別な日にしか使わな...

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