チャプター 52

エレノア視点

玄関のドアが開く音がして、返事をしなくて済んだ。オリヴィアの声が飛んでくる。「ただいま!それと、言ってたスコーンも買ってきたよ!」

デレクが身を引き、乱れた髪を後ろへ撫でつけて整えた。玄関ホールへ向き直る前に、最後に一度だけこちらを見たが、その表情からは何も読み取れない。

オリヴィアが出入口に姿を現した。バターと砂糖の甘い匂いがする紙袋を抱えている。彼女の視線がデレクと私の間を行き来し、空気の張りをはっきり察したらしい。

「それと、フォー・シーズンズにも寄って、必要だって言ってた資材も買ってきた」もう一つの袋を持ち上げて言う。「レイチェルが、ミラー社の案件用にサンプル作...

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