チャプター 63

エレノア視点

寝室は影に守られた安息の場所だった。ベッドサイドのランプの淡い灯りが、部屋全体にやわらかく親密なぬくもりを落としている。私は衣装戸棚のそばに立ち、今しがた取り出したシルクのネグリジェの繊細な布地を、指先でなぞっていた。一日の重みが肩にずしりとのしかかり、張りつめた家族の夕食でもうひとつ増えた疲れを洗い流すような、熱いシャワーに逃げ込みたいと、それだけを願っていた。

髪はゆるくまとめてあったが、言うことをきかない数筋が頬のまわりに落ちていた。身につけた薄手のローブが肌にさらりと触れ、私は浴室のほうへ向き直った。

そのとき、鋭い音を立ててドアが開き、静寂を真っ二つに裂いた。私...

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