チャプター 79

エレノア視点

ポケットからキーカードを引き抜く指が震えていた。デレクはさらに素早く、すぐ背後に迫ってくる。決意をそのまま足音にしたような重さだった。ドアを閉めようとした瞬間、彼は手のひらをどんと押し当て、私が締め出すのを許さなかった。磨き上げられた木が彼の掌に押しつけられ、押し返す手首の腱が浮き上がる。

「この話から逃げるのは許さない」そう言った彼の声は、今は柔らかく、ほとんど無防備にさえ聞こえた――結婚していた間に数えるほどしか耳にしなかった調子。たいていは夜更け、彼の防御が緩んだときにだけ現れる声だ。その不意の変化に、私は面食らった。懐かしい旋律を短調で奏でられたみたいに。

廊下で騒...

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