チャプター 85

エレノア視点

下山は、オリヴィアとジェームズと私が先頭を歩き、デレクが後ろからダニエルとメリッサを連れて続く形で始まった。背中に視線が突き刺さるのがわかった。ジャケット越しに焼けつくみたいに。けれど振り返る気にはなれなかった。夜明けに起きたこと――デレクの告白、してはいけなかったはずのキス――のせいで、胸の鼓動はまだ速いままだ。雪でぬめる危険な下り道を一歩ずつ踏みしめるたびに、集中すること自体が戦いだった。唇に残るあの温かさへ、思考がずるずると引き戻されないように。

「大丈夫?」オリヴィアが囁き、私の腕に自分の腕を絡めてきた。「なんだか……いつもと違う」

「ただ疲れてるだけ」私は嘘をつ...

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