チャプター 86

デレク視点

俺はひとりで目を覚ました。アパートのシーツに絡め取られたまま、寝返りもろくに打てない。半分だけ引かれたカーテン越しに朝の光が差し込み、部屋の床に長い影を落としていた。意識は真っ先に、昨日の朝のエレノアとの張り詰めたやり取りへと流れていく――彼女のドアの前に朝食を届けたこと、車で職場まで送ったときの、息を呑むような会話。それからさらに遡り、さらに遡り、たった二日前のブルー・マウンテン自然保護区の朝へと戻ってしまう。

記憶は鮮烈な断片となってよみがえった。山の稜線から夜明けが割れ、琥珀と薔薇色の水彩で空を塗っていく。人目のない岩棚に並んで立つエレノア。蜂蜜色のブロンドが最初の光を受...

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