チャプター 95

エレノア視点

私はためらい、鍵に伸ばした手を宙で止めた。

どうして彼がここにいるのだろう。私ははっきり伝えたはずだ――距離を置きたい、離れていたい、きれいに終わらせたい、と。それなのに、いつもと同じく招かれざるまま、彼はそこにいた。私は小さく息を吐き、腹をくくって扉を開ける。彼が一歩踏み出すのと同時に冷気がどっと流れ込み、手袋をはめた手には小ぶりで上品な箱が握られていた。鋭い青灰色の瞳――底知れない深さのその目が、逃れようのない強さで私を捉える。無視しようとしても、できなかった。

「エレノア」彼は低く、少し掠れた声で言った。寒さ――あるいは別の何か――と長く闘ってきたような声だ。「入って...

ログインして続きを読む